RESEARCH & PROJECT研究・プロジェクト
2024.08.08 キックオフシンポジウム 「文理はどう共創できるか? シナジーのあり方・作り方を考える」
2024年7月26日に情報科学融合領域センターのキックオフシンポジウム「文理はどう共創できるか? シナジーのあり方・作り方を考える」が開催されました。
学長挨拶・センター長挨拶
長谷川眞理子先生
日本芸術文化振興会理事長
「文理の融合とはどういうことか?」
(概要)昨今、「文理融合」や「総合知」の重要性が叫ばれている。それはどういうことなのだろう? 人々が文系と理系に分断され、あまりにもそれら集団ごとの違いが大きくなり過ぎ、ものごとがうまく進まないまでになってしまった、だから文理を融合させて総合知を作ろう、ということなのだろう。では、なぜ文理がここまで分断されてしまったのか、その経緯は何か。そして、それをやめるには何が必要なのか、どんな思考の転換や社会構造の転換が必要なのかを探る必要があろう。本講演では、私のこれまでの経験から、これらの問題について考えてみたい。
栗原聡先生
慶應義塾大学理工学部教授、共生知能創発社会研究センター長、JST(科学技術振興機構)さきがけ「社会変革基盤」領域統括
「AI研究における文理融合とは?」
(概要)AIの研究そして社会実装において、AIを作るにも利用するにもその対象となるのが人です。AIという学問は人を理解する学問であるとも言えるのです。生成AIの登場で良くも悪くも世界が活気付いておりますが、生成AIは人の活動が生み出したデータにより出来ているのです。そのようなAIがこれからさらに進化していく今後において、AI自体をどのように進化させるのか、そして、その際の倫理的側面に留意するためにも、文理融合に基づくAI研究開発がさらにとても重要になります。その理由について考察したいと思います。
唐沢かおり先生
東京大学大学院人文社会系研究科教授、JST社会技術研究開発センター「科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題 (ELSI) への包括的実践研究開発プログラム」総括
「科学技術ELSI/RRIと文理融合」
(概要)科学技術の進展により我々は大きな恩恵を受けると同時に、様々な課題(倫理的・法制度的社会的課題:ELSI)への対応も求められる。ELSIを明らかにし、責任ある研究とイノベーション(RRI)を推進するためには、関与する科学技術分野のみならず、人と社会についての知見を蓄積してきた人文系・社会科学系の学問も協働し、よりよい未来につながる選択へとつなげる必要がある。ELSI/RRIの本質が人と社会に関する根源的な価値の探求に関わることを踏まえ、文理融合の重要性について考察したい。
ラウンドテーブル・ディスカッション
長谷川眞理子先生(日本芸術文化振興会理事長)
栗原聡先生(慶應義塾大学理工学部教授)
唐沢かおり先生(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
村田玲音先生(明治学院大学名誉教授・元学長)
(司会:亀田達也)