明治学院大学情報科学融合領域センター

2025.05.24 【イベント】Fusion Centerセミナー(話題提供者:則武 厚先生: 富山大学医学部)が開催されます(6月2日)

【日 時】   2025年6月2日(月) 17:00−18:30

【場 所】   オンラインのみ

【Zoom】 https://us02web.zoom.us/j/87901292569
ミーティング ID: 879 0129 2569
パスコード: 048746

【講演者】 則武 厚 (富山大学 学術研究部医学系 統合神経科学講座 准教授)

自己と他者の報酬の脳内処理について:ヒト社会を理解するために

ヒト社会を理解する上で、「自己」と「他者」、そしてその相互作用を脳がどのように捉え、処理しているかを明らかにすることがカギとなる。しかし、その神経メカニズムは未だ十分に解明されていない。本発表では、自己と他者の報酬に関する脳内処理に焦点を当てた、則武らの一連の研究を紹介する。則武らは、モデル動物としてサルを用い、自己と他者の報酬情報に関する神経活動の表現が、大脳皮質と皮質下構造でどのように異なるかを、電気生理学的および薬理学的手法によって明らかにした(Refs. 1 & 2)。さらに、化学遺伝学的手法を用いて特定の神経路の情報伝達を遮断することで、他者の報酬情報を伝える神経経路を因果的に同定した(Ref. 3)。時間が許せば、現在進行中の、サルに最後通牒課題を実施したプロジェクトにおける行動パターンのデータも紹介したい。これらの研究は、嫉妬や公正さといった、ヒト社会の形成に不可欠な概念を神経科学的に理解する上での重要な礎となると考えている。

References:
1.    Atsushi Noritake, Taihei Ninomiya, Masaki Isoda Social reward monitoring and valuation in the macaque brain. Nature Neuroscience. 21(10):1452–1462, 2018
2.    Atsushi Noritake, Taihei Ninomiya, Masaki Isoda Representation of distinct reward variables for self and other in primate lateral hypothalamus. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 117(10):5516–5524, 2020
3.    Atsushi Noritake, Taihei Ninomiya, Kenta Kobayashi, Masaki Isoda Chemogenetic dissection of a prefrontal-hypothalamic circuit for socially subjective reward valuation in macaques. Nature Communications. 14(1):4372, 2023

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